2025年10月21日(火)、多摩市役所の会議室にて開催された多摩市介護支援専門員連絡会の会合において、つばさクリニック多摩 院長の井上貴裕医師が講演を行いました。
当日は、市内の介護支援専門員(ケアマネージャー)の皆さまを中心に、約80名が参加されました。
平日のご多忙な時間帯にもかかわらず、地域の医療と介護の連携をより深めようという熱意に満ちた会場となりました。


今回の講演テーマは「訪問診療での多摩市の課題と、ケアマネージャーの方々に期待すること」。
井上医師からは、在宅医療の現場で日々向き合っている多くの事例をもとに、医療と介護がどのように連携しながらご本人やご家族を支えていくか、その具体的な工夫や課題について語られました。
病院中心の医療から、地域全体で支える「地域完結型医療」へと転換していく中で、医師・ケアマネージャー・訪問看護師・薬剤師・リハビリ職・介護事業者など、多職種が互いに尊重し合いながら支える体制の重要性が強調されました。
講演では、「住み慣れた地域やご自宅で、最期まで自分らしく過ごす」という在宅医療の理念に触れながら、その実現のために地域全体がどのような役割を果たせるかについても語られました。
井上医師は、「病院ではできないことが、在宅だからこそできる」と述べ、ご自宅で過ごす時間が患者さんにもたらす穏やかな変化や、ご家族の表情の変化などを具体的なエピソードとともに紹介しました。
さらに、「在宅には不思議な力があります。家に帰るだけで表情が変わり、食欲が戻り、笑顔が生まれる。だからこそ、私たちはその瞬間を支えたい」と語り、会場全体が深くうなずきながら聞き入っていました。

講演後半では、事前に寄せられた質問にも丁寧にお答えしました。
「医師への情報共有の方法」「緊急時の対応」「住宅改修における医師の関与」「他科との連携方法」「訪問診療の限界」など、現場で実際に生じる課題に即した質問が多く寄せられました。井上医師は、「訪問診療でできないことはない」と力強く語り、医療・介護それぞれの立場を越えて協働していく姿勢を明確にしました。
とくに「ケアマネジャーの皆さんには、忌憚のない意見をどんどん伝えてほしい」と呼びかけた場面では、多くの参加者が深くうなずいており、互いの専門性を尊重しながら一緒に地域を支えていこうという温かい一体感に包まれました。
参加された方々からは、「医師の現場から見た在宅医療の実情を知る貴重な機会だった」「“多職種で支える街づくり”という言葉が印象に残った」「地域の医療と介護の距離をもっと近づけたいと感じた」といった感想が多く寄せられました。
つばさクリニック多摩では、これからも地域の皆さまと連携しながら、住み慣れた地域やご自宅で最期まで安心して暮らせる“まちづくり”を目指し、日々の診療と地域連携に取り組んでまいります。